Memory of Niseko(自然からの贈り物)

memory of niseko

僕が幼かった頃

山や海で

親父によく言われたことがある。

パピー

たまには 自然と触れあうんだぞ

親父の仕事はいつも忙しく

一緒に過ごした記憶は少ないけれど

その言葉だけはよく覚えてる。

ガキTARO

なんで?

と聞いたことはなく

当時は疑問にも思わなかった。

ニセコ

時はさかのぼること

200X年の秋

僕は仕事の為に

北海道虻田郡ニセコ町

へやってきた。

ニセコといえば

上質なパウダースノーが降る

日本有数のリゾート地。

世界中のスキー、スノボー大好き人間が

集まる場所。

冬は スノボーブランド が

イベントを開催したり

毎晩 どっかでパーティーをやっている。

ホテルマン

さて 僕の仕事は 

ホテルのドアマン

お客様のお出迎えとお見送りをする業務。

初めての接客業

気合いをいれて

エントランスで客を待ち構えるが

残念なことに

客はまったく来ない。

この頃は11月末。

紅葉が終わっており

雪は降らなく

観光する所もなかった。

基本的に

スノーシーズン以外は閑散としている。

とはいえど

ホテルは営業しているので

忙しくなくても

外にいなくてはならない。

ヒマすぎて 

だんだん

意識が遠のいていくのが分かる・・・

3回ぐらい 名前を呼ばれないと

気がつかなかった。

ニセコには羊蹄山という

富士山そっくりな山があり

その山をひたすら眺めていた。

頬をかする 冷たい風が吹くと

すぐ冬になり

大量のパウダースノーが積もった。

雪質がサラサラなので

雪玉は握れない。

いよいよ シーズン到来で

メチャクチャ忙しいのだが

僕の仕事は ずっと外。

暇な時は、いつもの景色を眺めていた。

やがて暖かくなりはじめ

雪が溶けると

土に混ざってグチャグチャになった。

大地の香りがしたかと思えば

草木の芽がそこら中に生え始め、

花が咲けば

チョウチョや蜂が群がった。

この頃にはもう

仕事中に

山を眺めるのがライフワークとなっている。

そして 夏になると

気温が上がると共に

緑が生い茂り

キツネやカメ虫

モスラが大量に発生した。

アクティビティも豊富で

ゴルフ、釣り、ラフティング等

遊び放題で 夏はとにかく楽しい。

秋になると

美味しいジャガイモやコーンが

たくさん採れるようになり

草木は紅葉を始め

山全体がイエローモンキーになった。

ニセコはイチョウの木が多いのだ。

その紅葉が散り

1年前の景色に戻った時

僕は気がついた。

日本には四季がある。

もちろん 知ってはいたけども

同じ景色を ずっと外で眺めて

五感で体感したのだ。

それまでは気温以外、

街の飾り付けやイベントでしか

季節を感じられなかった。

羊蹄山

翌年の春

僕はいつも眺めていた羊蹄山を

登ることにした。

登山といえば

遠足で高尾山に行ったぐらいで

少し不安だったけど

晴れた日の朝

ゆるやかなルートを 1人で登り始めた。

もうとにかく

つらくて しんどくて

途中に 座れそうな場所があれば

ところ構わず座った。

休憩は100回以上したはず。

そんなこんなで やっと頂上に到着した。

通常、登頂者が

ピクニックをして賑やかなのだが

この時は 僕以外誰もいなかった。

頂上に腰掛けて

絶好の景色をしばらく眺める事にした。

標高2000メートル近くある山頂に

下界からの騒音は何も聞こえない。

キャピTARO

静かだ・・・

僕は目を閉じて

静けさに耳を傾けた。

すると

なんだろう・・

この感じは・・

まるで何かに抱かれているような・・

目を開けると

僕の中で何かがリセットされて

その瞬間

親父が言っていた意味が分かった。

言葉で説明するのは

難しいんだけど

たとえば

夜空を見上げて 満天の星だった時や、

畑に没頭して

とつぜん心地よい風が吹いた時、

風呂上がりに 鈴虫が聞こえた時など

自然がふとした時に

与えてくれる瞬間は 

自分がヒトである事を教えてくれる

日常の思い詰まる悩みが

バカバカしくなるのだ。

おそらく

古代から生活を共にしてきた環境が

そう感じさせてくれるのだと思う。

人類が造り出した

コンクリートジャングルの中

忘れてはいけない

ヒトとして大切なこと。

パピー

自然とイチャイチャする

まとめ

その後  しばらくして

親父はいなくなってしまい

この話をする事は 1 度もなかった。

きっと

親父が言いたかったのは

僕がニセコで体験した事なんだと思う。

それからというもの

都会の生活に疲れた時は

ほんの少しでもいいから

自然がある場所に

行くようにしている。

sidetarp
キャピTARO

おーい 

なーに?

キャピTARO

たまには

こうやって自然に触れるんだミョン

HANA

お終い

ジャパンキャンピングカーレンタルセンター