バイカー19ブルース (90年代・青春バイク旅) Episode 3

前回までのストーリー

biker19blues
bikerwithsunset

友人から借りたバイクは

Honda Steed 400

映画 ”イージーライダー” の

キャプテンアメリカ仕様になっていて

カッコいいのだが、

ガスタンクにメーターがない為、

残量が分からずガス欠を起こした事が

何度もあった。

街中であれば、

スタンドは何処にでもあるし、

助けを呼ぶ事だって容易かも知れないが、

大自然の中だとそうはいかない。

ガス欠 

登別市でマサルさんと別れた後、

小樽市に向かう途中。

走行中に突然、アクセルを回しても

パワーが出なくなり

時折、 バフン!バフン!

とマフラーから音が鳴った後、

プスンッと言ってエンジンが止まり、

バイクはスーッと停止した。

見回したら川しかないへんぴな所で、

天気が良く暖かい日だった。

一番最後に見たガソリンスタンドから

20キロぐらい走ってる。

歩いて戻るには遠すぎるし、

行先方向にガソリンスタンドがあるか

どうかも分からない。

すると

自転車が数台止まっているのを発見し、

そのまま川に目を向けると

子供達が数人遊んでいるのが見えた。

スタンドまで自転車で行ければ、

後はなんとかなる。

あの子達から自転車を借りよう。

キャピTARO

ねーねー

kid

どうしたんですか?

小学5,6年生ぐらいのグループの中、

リーダー的な子に事情を説明したら、

2つ返事で自転車を貸してくれた。

キャピTARO

サンキュー

僕は借りた自転車でスタンドへ行き、

少量のガソリンが入った容器と一緒に

戻ってきた。

バイクにガソリンを少し入れると

エンジンがかかったので、

バイクでスタンドに戻って容器を返却、

ガソリンを満タンにした。

キャピTARO

これで一安心。

旅を再開する前、

子供達にお礼を言おうと思って

川岸まで降りていくと、

なにやら面白そうな遊びをしている事に

気が付いた。

少し上流から川に流されて、

沈下橋の島に飛び乗っている。

川幅は40mぐらいで流れが速く、

水深もありそうだが、

いとも簡単に島へとたどり着く。

キャピTARO

楽しそーじゃん

kid

お兄ちゃんもやってみなよ

キャピTARO

よし! 

ちっと子供の遊びに付き合ってやるか!

MISSION


島に上陸せよ

キャピTARO

行くぜ !

そのまま

足がつく所まで流された・・・

kid

もう一回やってみれば?

キャピTARO

いや もういい

しばらく休憩をしていたら

突然

リーダーは立ち上がり、

リーダー

雨が降る・・・

と言った。

空は明るく、

雨が降る気配などまったくないのに

リーダー

もう行った方がいいです。

しつこく言うので、

仕方なく別れを告げる事にした。

キャピTARO

ありがとね。

キャピTARO

もう2度と会えないかも知れないけど・・・

リーダー

はい 分かってます。

キャピTARO

達者でなー

子供達に見送られる中、僕は出発した。

30分後・・・

確かに雨は降った。

後から思い返してみると

あの子達は、何か不思議な力を持っていた。

ひょっとしたら

川の妖精だったのかもしれない…

キャピTARO

なーんてね・・・

ガス欠 (その2)

小樽市から旭川市に向かう途中。

雨の夜に山道を走行中、

またガス欠になった。

走ってきた道にスタンドはなかったし、

営業している時間帯ではない。

車の通りがなく、

外灯すら所々にしかない場所である。


雨宿りしてテントを張れそうな所もないし、

安全な場所を求めて

バイクを押していくしかなかった。

どれぐらい歩いたのだろうか。

もう何時間も経過した。

雨は止む気配がなく、無情にも降り続く。

さらにバイクを押し続け、

ようやくガソリンスタンドが現れた。

営業はしていないが、

きっと朝にはオープンするだろう。

とりあえずスタンドの屋根が

雨から守ってくれる。

疲れ切った僕はバスタオルを床に敷くと、

そのまま倒れこむように眠りについた。

翌朝

眩しくて目が覚めた。

雨は止んでいる。

スタンド内を見回すと、

怖そうなおじさんがひとり 働いていた。

僕がいることを知っているのに、

何も言ってこない。

僕は起き上がって、挨拶をした。

キャピTARO

おはよーございます。

スタンド店員

おう

キャピTARO

あの、お手洗い借りてもいいですか?

スタンド店員

そっちにあるぜ

顔を洗ってバイクに戻ると、

営業時間前なのにガソリンを入れてくれた。

・・・

キャピTARO

あの・・・

スタンド店員

ん?

キャピTARO

いえ、ありがとうございました。

僕みたいにガス欠するヤツがよく現れて、

慣れているのだろうか?

フツーは客だとしても、

見つかり次第たたき起こされる。

とにかく

スタンドは営業時間となり、

車が入りだしてきたので、

料金を払って出発した。

雨上がりの朝は、景色や空気がキレイだ。

昨夜はしんどくてしょーがなかったのに

僕はすっかり元気になっていた。

リザーブタンク

3回ガス欠してから知った事だけど、

このバイクにはガソリン残量メーターが

ない代わりに

リザーブタンク(予備タンク)

が設置されていた。

メインタンクが空になった時、

ノブを回せば 多少走るのだ。

キャピTARO

聞いてないよー 

バイクオーナー

いやー 知ってると思った

でも ステキな人達と出会えたから

キャピTARO

それもまた COOL

つづく…

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