![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/911-1-1024x864.jpg)
時は 2001年
ノースカロライナ州に住んでいた時
NYのテロ 9.11 が起きた。
テレビで映画を見ているようで
それは恐ろしい現実だった。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/1479832_m-1024x741.jpg)
数年後
外国人労働ビザの発行に規制がかかり
その枠に入れなかった為
僕は 国を出るハメにあう。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/kicked-out-1024x864.jpg)
あの時、
日本に帰れば良かったのかもしれない。
けど
僕は南米を目指す事にした。
キッカケになったのは
以前、ドミニカ共和国に行った時のこと。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/4241504_m-1024x769.jpg)
そこでは
ストリートキッズを目の当たりにし
街全体とつぜん停電したかと思えば
交差点でつぎつぎに車が衝突。
いつ電気が復旧するかも分からず
早ければ30分、おそい時は1週間
パニックや暴動が起きる訳でもなく
現地の人に言わせれば
びっくりだった。
それでも陽気に暮らす人々の
ラテン文化に興味を持った。
一度帰国したら、
なかなか動けなくなるだろうし
この際、せっかくだから
南米に行ってみよう。
そして
ブラジルのカーニバルで
号泣しながらサンバを踊ろう。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/samba-1-1024x864.jpg)
僕は会社を辞めて、アパートを引き払い
Nissan ピックアップトラックに
荷物をつんで出発した。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/24945517_m-1024x768.jpg)
前編のBGM
途中
ルイジアナ州でスケボーを少年にくれてやり
テキサス州でトラックを売り飛ばし
持ちきれない物は
施設や教会に寄付をした。
テキサス州からはバスに乗り
メキシコと境の川を越える。
橋に飾られているたくさんの十字架は
密入国者が失敗したあとの供え物。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/2627822_m-1024x768.jpg)
国境を超えた瞬間、
バス内の会話が英語からスペイン語に
変わったのを覚えている。
ここからのBGM…
曲をかけながら
読んで欲しいです。
メキシコ Mexico
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/24909179_m-1024x768.jpg)
メキシコは音楽が美しい。
何を言っているのか
サッパリわからないけど
ランチェラ (Ranchera) と呼ばれる
演歌みたいな曲の音色が
心地よい。
そして、タコスの屋台で
初めてのスペイン語を覚えた。
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/taro18.png)
tengo ambre (お腹空いた)
とうもろこしのトルティーヤに
サルサ、ライム、シラントロ(パクチー)で
味付けされたタコスは癖になる。
![mexican tacos](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/tacos-300x225.jpg)
一度、食中毒にかかり
上から下まで大変な事になったけど
それでもまた食べたくなるのだ。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/tacos2-225x300.jpg)
ビバ!ビバ!ビバ!ビバ!
グアテマラ Guatemala
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/guatemala.jpg)
メキシコからグアテマラには陸路で入国。
山間部のイミグレーションを通る際、
グアテマラ側に止まっているオンボロ車に
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/img.png)
絶対に乗ってはダメよ
と 入国スタンプをパスポートに押しながら
税関のおばちゃんが教えてくれる。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/straight-to-hell-1-1024x864.jpg)
外に出ると、案の定
うさんくさい男たちが
乗れ乗れ 言ってきたけど
あの車は ラテン地獄 直行便 に違いない。
2時間程待って
路線バスに乗った。
サン・アンティグア San Antigua
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/g3.jpg)
サンアンティグアという
スペイン語を勉強するための町があり
語学学校で少しスペイン語を習得。
最低限の意思表示ができるようになる。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/antigua-school.jpg)
人々の生活はメキシコと比べると
一気に貧しく感じた。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/g1.jpg)
グアテマラ人の多くは
その昔、スペインに領土を占領された事を
今でも良く思ってはいない。
領土を占領する際、
反抗する先住民を殺しまくり
教会をたてまくって
強制に従わせた歴史を学ぶと
いろんな意味で複雑な気持ちになる。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/g2.jpg)
エルサルバドル El Salvador
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/elgang.jpg)
おっかないギャング達がいるエルサルバドルに
数日間
バスの乗り継ぎで滞在。
テレビのニュースで
背後から撃たれ、殺人強盗される事件が
多発していると報道あり。
外出中は、
とにかく後ろを見ながら歩いた。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/3240809_m-1024x683.jpg)
ニカラグア Nicaragua
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/nc2.jpg)
エルサルバドルから
高速バスでホンデュラスを通過して
ニカラグアに到着。
この国も貧しいが
危険な感じは少なく
何故か
落ち着いている場所が多い。
ある日、
路線バスから なんとなく降りて
人気のないビーチで
海を眺めていた時の事。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/alone-at-beach-1024x864.jpg)
高校生ぐらいの少年が話しかけてきた。
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/friend-2.png)
ベラベラベラ
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/taro9.png)
勉強したのに
何言ってるんだか分かんねー
持っていたスペイン語辞書を渡して
指差しコミュニケーションをはかってみるが
なぜか本を突き返してくる。
がんばって話してみると
どうやら
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/friend-2.png)
一緒に遊ぼうよ
と言ってくれていた。
海でしばらく遊んだ後、
少年の家でランチを頂く事になり
海沿いにある
コンクリート建ての小さな家で
ライスとモツ煮みたいな料理を
ご馳走になった。
食後に周辺を案内してもらい
ビリヤードで遊んだり
お酒を飲んだりもした。
夕方ごろ出発しようとしたが
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/friend-2.png)
まあ まあ
と言うので、お言葉に甘えて
夕食(ココナッツ丸ごと1つ)までいただき
庭のハンモックで
1晩泊めてもらえる事になった。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/nc3.jpg)
決して裕福とは言えない家庭だが
いたりつくせりの
おもてなし をしてくれた。
今までの経験上、
こういう場合はお金を払うと喜ばれる。
というより、
それが目的なのかもしれない。
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/taro18.png)
いくらぐらいがいいかな?
そういえば
周辺を案内してもらった時
近くに学校がなかった。
辞書でやりとりができないわけだ。
とか思いつつ
波の音を聞きながら
庭のハンモックで眠りについた。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/24733778_m-1024x768.jpg)
翌朝の出発時、
少年は
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/friend-2.png)
何か思い出になるものが欲しい
と言ってきた。
さっそくお金を渡そうとすると
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/friend-1.png)
No No
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/taro18.png)
へ?
お金ではない?
その時、僕はナイキの帽子をかぶっていて
どうやらそれが欲しいみたいだった。
どこにでも売っている偽物で
300円ぐらいの帽子だ。
でも 僕は
小さい金の指輪を差し出した。
売ればいくらかになる。
それを受け取った少年は
ちっとも
喜んではいなかった。
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/taro18.png)
いつか困ったときの足しになるから
と言って聞かせたが
どーでも良さそうだった。
そんなこんなで
バスターミナルまで行くために
僕はタクシーを呼んで乗り込んだ。
少年は笑顔で手をふってくれていた。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/2303467_m-1024x768.jpg)
とても暑かったので
クーラーが効いている車内は
涼しくて気持ちがいい。
バスターミナルに到着して
ビニール袋入りのジュースを購入している時、
帽子がないことに気がついた。
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/taro18.png)
あれ?
そういえば さっきタクシーで
エアコンが気持ちよくて
帽子を脱いで
そのまま … 置き忘れてしまった。
![](http://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/taro9.png)
え? え?
こんなんだったら
あの少年にあげていれば良かった …
人生は皮肉である
正直なところ
僕が指輪をあげたのは
帽子が気に入っていたのと
指輪はもういらなかったから。
そして
どうせならお金になるものがいいと
決めつけていたからだ。
よく考えてみると
最初からお金を要求された事は
1度もなかったし
最後にこっちから出しても断られた。
お金はどーでもよかったのだ。
帽子がなくなってから、
その事に気がついた。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/24697130_m-1024x684.jpg)
ひとりさみしく海を眺める僕に
少年は声をかけてくれて
言葉もろくに分からないのに
一緒に遊んでくれて
無料で食事、
宿泊までさせてくれたのに対し
どこでも買えるような帽子を手放さず
生活が貧しいからといって
自分ではつけない
少年もいらない ちっぽけな指輪を
お礼としてあげた事が
恥ずかしくなった。
お金がなくても
それ以外の大切な事を
あの少年は知っていたのだと思う。
そんな純粋でやさしい少年を
ガッカリさせてしまった。
なんであの時、
帽子をあげなかったのだろう?
少年の連絡先や住所は分からないし、
ナイキの帽子は二度と戻らない。
できればあの時に戻って
やり直したい。
でも 出来ない。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/nc1.jpg)
こうして
僕をのせたバスは
次の目的地へと出発したのだった。
![](https://vagabundo.blog/wp-content/uploads/2022/11/408699_m-1024x767.jpg)
つづく
![](https://www11.a8.net/0.gif?a8mat=3T061F+8XI3G2+4FH4+60OXD)
こんなのふつー